パリ ラグジュアリーホテル「LA DEMEURE MONTAIGNE」から学ぶクラシックモダン空間デザイン【前編】
- 音瀬 陽子

- 2024年4月17日
- 読了時間: 4分
更新日:2月18日
住まいは、インテリアで完成します。
『人生を慈しむ、最高に贅沢な日常を。』
2023年夏、パリのラグジュアリーホテル「LA DEMEURE MONTAIGNE」を訪れたとき、私は“すべてが計算され、調和している空間”に心を奪われました。
パリのラグジュアリーホテルの中でも、このホテルは特にモダンクラシックの完成度が高く、装飾・素材・色彩・照明のすべてが丁寧に構成されています。
モールディングや重厚なマテリアルを用いながらも、過度に装飾的にならず、多彩な色を重ねながらも統一感を保ち、空間全体は上質に整えられています。
クラシックの格調と、モダンの余白。
絶妙なバランスで共存しています。
今回はロビーとバー空間を中心に、クラシックモダンを成立させている要素を私なりに紐解いていきます。

場所はパリ中心部8区。シャンゼリゼ通りから徒歩5分という、とても恵まれた立地です。
外観は石造りのファサードにアイアンのバルコニー。いかにもパリらしい佇まいです。
この建築様式は、オスマニアン(Haussmannien)建築と呼ばれるもの。
19世紀のパリを代表するスタイルです。
石造りの外壁、整えられた階高、揃えられた窓のライン。
2階と5階にバルコニーがあり、建物全体のバランスを美しく保っています。
エントランス前の対のトピアリーも印象的。ここがホテルの入り口、自然と目が引き寄せられます。

ラグジュアリー感が漂うコンテンポラリーな雰囲気のロビーです。羽根で作られたシャンデリアは、パリの工芸アーティスト、ジャナイナ・ミレイロ氏によるもので、とても美しく、幻想的です。

レセプションの背面には、手作業でカットされたガラスの壁面。光が当たることで陰影が浮かび上がり、平面なのに奥行きを感じます。


クッションやラウンジチェアに使われている生地には、伝統的な和柄のデザインが取り入れられています。


ロビー空間の内装材、家具の張地、照明の高さや光の当て方まで、すべてがきちんと考えられています。派手ではないのに、印象が強く残る空間です。

こちらはロビーに隣接している部屋で、ビリヤードができます。壁面は総パネル、奥の壁にはフランスを代表する哲学者、ミシェル・ド・モンテーニュのポップな肖像画が飾られています。重厚な空間に、あえてポップなアート。この”外し方”が、クラシックモダンの面白さだと感じました。

バーラウンジ。赤やゴールド、ダークブランといった濃い色を重ねながらも、重くならない。照明とアート、家具の張地のバランスがとても上手です。

ロビーに隣接しているバー。奥にはBlue yardと呼ばれる中庭。
外の光と室内の照明が交わる場所で、空間の印象が少し柔らかくなります。


Blue yardと呼ばれる中庭です。左上の写真をよく見ていただくと、空中に三羽の鳥が飛んでいます。こちらはフランスの彫刻家、フランソワ・ラヴラ氏によるものです。
こちらの朝食は、どれを食べても本当に美味しかったです。紅茶を頼みましたら、南部鉄
器の急須に入ったお湯が運ばれてきました。急須のリブとガラスコップのリブ……これは計算されているのか、偶然なのか……どちらでしょうか。
お皿やナプキン、家具の張地、お花や小物にいたるまで。
やはりここも抜かりがありません。

中庭の隣のエリアでも、朝食をいただくことができます。


ロビーから客室へ向かう廊下です。

階段の手摺や手摺子のデザイン、カラー……どこを見ても気になって仕方ありません。


階段、廊下を通り抜けて、お部屋へたどりつきます。もちろんエレベーターも使えます 。
このホテルで感じたのは、装飾の豪華さだけではありません。光・素材・デザイン・カラー・家具配置に至るまで、すべてが計算されている。
でも決して押しつけがましくない。それぞれが主張するのではなく、互いを引き立て合い、空間として一つにまとまっていました。
日本の住宅でも、天井高の取り方や光の入れ方、モールディングの使い方、そして素材とカラーの重ね方次第で、時間とともに味わいが深まる空間は作れると感じましたす。
素材やカラーが幾重にも重なり合い、空間に奥行きを生み出していく。
それは偶然ではなく、素材とカラーのレイヤー構成によって緻密に設計された調和だったのだと思います。
豪華さを足すのではなく、調和を設計すること。その大切さを改めて実感しった滞在でした。
お部屋の空間設計については、後編で詳しくご紹介します。
▶︎クラシックモダン空間デザイン【後編】はこちらからご覧ください。



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