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  • 執筆者の写真音瀬 陽子

モリスのゆかりの地「ケルムスコット・ハウス」&「エメリー・ウォーカーの家」

こんにちは。インテリアデザイナーの音瀬です。


イギリスのテキスタイルデザイナー、芸術家、詩人、また社会運動家としても有名なウィリアム・モリス。特に彼が残したインテリアファブリックや壁紙のデザインは、現在もとて

も人気が高く、時代を超えて世界中の人々に愛されていますね。

 

昨年夏にロンドンを訪れた際、モダンデザインの父と呼ばれ、アーツアンドクラフツ運動の中心的存在であったウィリアム・モリスが暮らした場所、ゆかりの地をぜひとも訪れたいと思い、晩年過ごした「ケルムスコット・ハウス」と、彼の親友であったエメリー・ウォーカーの家に行ってきました。



まずは、ロンドン中心部からラベンズコート・パーク駅まで地下鉄ピカデリー線で約20分、そこから徒歩で約10分のところにある「ケルムスコット・ハウス」(上の写真)です。

 

彼が44歳(1878年)から亡くなる62歳(1896年)まで、18年間暮らしていた家です。



ハマースミスにある「ケルムスコット・ハウス」周辺は、とても穏やかで自然がたくさんあ

り、目の前にはテムズ川が流れ、散歩をするにはとても気持ちのよいところです。

 

モリスも同じ景色を見ながら散歩していたのかな…と想像してしまいます^_^



テムズ川沿いの柳の枝。「ウィローボウ」ですね。



こちらの建物は地下室付きの3階建て、現在は別の所有者のものになっていますが、ウィリアム・モリス協会が管理している1階の一部と地下室が美術館として公開されています。

 

正面グリーンの扉が「ケルムスコット・ハウス」の入口となります。馬車小屋を改造し、かつてテキスタイル工房として使用されていた場所にレセプションがあります。

(事前予約なし、週二日、木曜日と土曜日、午後14:00~17:00 オープン)





かつてテキスタイル工房であったここには、モリスの弟子であったジョン・ヘンリー・ダー

ルのデザインが展示されています。モリスが亡くなられた後、モリス商会のアートディレクターとして活躍された方です。



階段を下りて地下に入ります。




当時のケルムスコット・ハウス、モリスが暮らしていた様子が写真で展示されています。



当時のDrawing Roomの様子。




モリスが57歳(1891年)の時に、「美しい書籍」を製作するために設立した印刷所「ケルムスコット・プレス」で使用されていたアルビオン印刷機。



活字のデザインに力を注ぎ、美しく装飾された手工芸による書籍。右は、当時のケルムスコット・プレスのスタッフとモリスの集合写真。



小さいお土産ショップですが、モリスデザインの商品がたくさんありました!

 

決して広くない美術館でしたが、晩年モリスがこの地に住み、こういうところでデザイン、製作活動を行っていたことを想像すると、感慨深いものがありました。



続いて、こちらはケルムスコット・ハウスからテムズ川沿いに歩いて約10分のところにある「 エメリー・ウォーカーズ・ハウス 」

 

モリスの隣人、親友であったエメリーウォーカーの家です。


彼は印刷工、写真家、古物収集家、またアーツアンドクラフツ運動の主要なメンバーで、モリスが設立した「ケルムスコット・プレス社」では専門的なタイポグラファーとして知識を提供し、モリスをサポートしていました。

 

約1時間半のツアーです。(ネットから事前予約必要、週二日、木曜日と土曜日、各

11:00~、13:00~オープン)



こちらはパンフレット。

 

建物内部はモリスデザインの家具、オリジナルの壁紙やテキスタイル、アーツ&クラフツ運動の時代の芸術品、工芸品、インテリアがほぼ当時の状態のまま残されているため、モリスとウォーカーが生きた時代のインテリアの設えや雰囲気を感じることができる、とても貴重な建物となっています。

 

1階のDining Roomのマントルピースの上には、ウォーカーが撮った親友モリスの写真が飾られています(パンフレットをよく見ていただくとそのマントルピースが写っています)。

 

実際に見学できる場所は、Entrance Hall(エントランスホール)、Dining Room(ダイニングルーム)、Conservatory(コンサバトリー)、Garden(庭)、Drawing Room(応接室)、Bedroom(寝室)になります。



残念ながら内部は撮影禁止のため、購入したガイドブックとカードをご紹介^_^




左のカード:Dining Roomの壁に貼られていた壁紙デザイン。モリスの代表的デザインであるウィロー(Willow)、柳のデザインに泡模様が入っています。

右のカード:Bedroomのベッドカバーデザイン モリスの次女 メイ(刺繍家)によって、長年体が弱く、寝たきりであったウォーカーの奥様のために作られたクルーエル刺繍のベッドカバーです。



Dining RoomからConservatoryを抜け、裏庭に出られます(裏庭から建物を撮影しています。外部の写真はOKです)。



裏庭から見たテムズ川です。

 

いかがでしたでしょうか?

手仕事によって作り出される物の美しさやクオリティの高さ、それらを暮らしに取り入れることで、日常が豊かになるというモリスの考え方を、改めて思い出すことができました。

 

またモリスと彼の親友エメリー・ウォーカー、そして家族同士の深い親交がそこにはあり、ここから生まれたデザインがあること、それらのストーリーを知ることができました。


私もお客様に壁紙やファブリックをご提案するときには、そのデザインの背景となったストーリーをもお伝えできるようになれたらいいなと思います。

 

モリスのゆかりの地は、他にも幼少期を過ごした家「ウィリアム・モリス・ギャラリー」、オックスフォード近くの「ケルムスコット・マナー」、「レッドハウス」などがあります。


今回は時間がなく、訪れることはできませんでしたが、次回はぜひそちらも巡りたいと思います。


最後までお読みいただき、ありがとうございました(^^)/

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